ポーランド国歌
ポーランド共和国/Republic of Poland
ポーランドの国歌『ドンブロフスキのマズルカ』が作曲された18世紀後半のポーランドは、国力が衰えて近隣諸国の侵略を受け、プロイセン、オーストリア、ロシア帝国によって領土は奪われ、全土が分割されて滅亡の憂き目に遭っていた。
<写真:ポーランド世界遺産ワルシャワ歴史地区(旧市街)>
ポーランドの国民的英雄ドンブロフスキ将軍は、当時フランス革命戦争中であったナポレオンと手を組み、ナポレオンが征服した北イタリアにおいてイタリア・ポーランド軍団を編成・指揮しオーストリア軍と戦った。
1807年、ナポレオンによりワルシャワ公国としてポーランド王国が復活したが、ナポレオン戦争の敗北(1815年)により再度プロイセン、オーストリア、ロシア帝国に分割されてしまった。
ロシアの属国化 ショパンも海外へ
ロシア皇帝が元首として支配したポーランド立憲王国(1815-1867)では、ロシア帝国の完全な従属国として専制政治が行われ、ポーランドの民族運動は徹底的に弾圧された。
このため、多くのポーランド人はフランスなどに亡命したが、その中には世界的に有名なポーランド出身のピアニスト、フレデリック・ショパン(1810-1849)も含まれていた。ショパンは1829年にワルシャワ音楽院を首席で卒業後、1831年にパリへ向かった。
1830年 ワルシャワ蜂起
1830年11月、ロシア帝国が支配するワルシャワにて、士官学校生徒らによるクーデターをきっかけとして、武装したポーランド市民がロシア軍に対して一斉蜂起した。いわゆる「ワルシャワ蜂起(11月蜂起)」の勃発である。
挿絵:オラース・ヴェルネ作 11月蜂起失敗の寓意
ワルシャワ蜂起は各所で成功を収めたが、結局は数的にも軍備的にも優位なロシア軍に鎮圧されてしまった。ただ、ポーランド反乱軍は不利な状況ながらも非常に善戦し、もし1828年の露土戦争(ロシア帝国とオスマン帝国の戦争)中に蜂起を起こしていれば、結果は違っていただろうとの積極的評価もあるようだ。
ショパン『革命のエチュード』作曲
1831年、オーストリアからフランスへ向かっていた音楽家フレデリック・ショパンは、その途上でワルシャワ蜂起失敗の報に接した。
祖国の悲運に嘆き悲しんだショパンは、その憤懣やる方ない思いを楽曲に込め、ピアノ独奏曲『エチュード(練習曲)ハ短調』(作品10-12)を完成させたという。この練習曲は後に『革命のエチュード』と呼ばれることになる。
写真は、ポーランドのワジェンキ公園内にあるショパン像。ヤナギの木の根元に腰を掛けている。頭上の枝は、ピアニストの手と指を象徴しているという。
オリジナルの銅像は、第二次世界大戦中にドイツ軍によって破壊された。地元の言い伝えによれば、破壊された翌日、その場には手書きのメッセージが残されていたという。
「私を壊した者が誰かは知らないが、その理由はよく分かっている。お前たちの指導者のためには、私は決して葬送行進曲を演奏することはない。」
日本で世界初のレプリカ建立
なお、同ショパン像のレプリカが、世界で初めて日本の静岡県浜松市で建立された。ワルシャワと浜松市は「音楽文化友好交流協定」を締結しており、ショパン像のレプリカはJR浜松駅前の高層ビル「アクトシティ」の屋外広場「ショパンの丘」に設置されている。
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国歌について
ポーランド国歌『ドンブロフスキ将軍のマズルカ Dąbrowski's Mazurka』は、第3次分割によってポーランドが全ての領土を失ってから2年後、1797年にドンブロフスキ将軍(下の挿絵)がイタリアで率いた亡命ポーランド人部隊の軍歌として作曲された。
歌詞の意味・日本語訳
Jeszcze Polska nie zginęła,
Kiedy my żyjemy.
Co nam obca przemoc wzięła,
Szablą odbierzemy.
ポーランドは滅びず
我等が生きる限り
外敵の包囲
サーベルにて打ち破らん
Marsz, marsz, Dąbrowski,
Z ziemi włoskiej do Polski,
Za twoim przewodem
Złączym się z narodem.
進め 進め ドンブロフスキ将軍
イタリアからポーランドへ
汝の指揮の下 国民は団結せり
国家データ
首都 | ワルシャワ |
---|---|
面積 | 312,685km² |
人口 | 約3862万人(2004年) |
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