Finlandia Hymnフィンランディア賛歌

世界の行進曲・愛国歌/フィンランド

『フィンランディア賛歌 Finlandia Hymn』は、フィンランド出身の作曲家シベリウスによる交響詩『フィンランディア』の一部のメロディを合唱向けに編曲したフィンランド愛国歌。第2の国歌としても愛唱されている。

<上写真:フィンランドのヘルシンキ大聖堂>

歌詞は、フィンランドの詩人コスケンニエミ(Veikko Antero Koskenniemi/1885-1962)によって作詞された。この『フィンランディア賛歌』が誕生した1941年当時、フィンランドは隣国ロシア(ソビエト連邦)の侵略により国家存亡の危機にあり、ロシアに対抗して奮起するフィンランド人の決意に満ちた熱い魂が歌詞の内容にも反映されている。

ちなみに『フィンランディア』は、ブルース・ウィリス主演のアメリカ映画「ダイ・ハード2 Die Hard 2」(1990年)エンディング曲として使用された。同作の監督は、フィンランド出身のレニー・ハーリン(Renny Harlin/1959-)。

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1.
Oi, Suomi, katso, sinun päiväs' koittaa,
Yön uhka karkoitettu on jo pois,
Ja aamun kiuru kirkkaudessa soittaa,
Kuin itse taivahan kansi sois'.
Yön vallat aamun valkeus jo voittaa,
Sun päiväs' koittaa, oi synnyinmaa.

おお、スオミ(フィンランド国民の自称)
汝の夜は明け行く
闇夜の脅威は消え去り
輝ける朝にヒバリは歌う
それはまさに天空の歌
夜の力は朝の光にかき消され
汝は夜明けを迎える 祖国よ

2.
Oi, nouse, Suomi, nosta korkealle,
Pääs' seppelöimä suurten muistojen.
Oi, nouse, Suomi, näytit maailmalle,
Sa että karkoitit orjuuden,
Ja ettet taipunut sa sorron alle,
On aamus' alkanut, synnyinmaa.

おお立ち上がれスオミ 高く掲げよ
偉大なる記憶に満ちた汝の頭を
おお立ち上がれスオミ 汝は世に示した
隷属のくびきを断ち切り
抑圧に屈しなかった汝の姿を
汝の夜は明けた 祖国よ

讃美歌 『やすかれわがこころよ Be Still, My Soul』

讃美歌 第298番『やすかれわがこころよ』は、『フィンランディア賛歌』と同じメロディにつけられた讃美歌として知られている。聖歌としては第309番(総合版では第294番)。

歌詞自体は古いもので、1752年にドイツの修道女カタリーナ・シュレーゲル(Katharina Amalia Dorothea von Schlegel/1697–1768)によって作詞された『Stlle, mein Wille, dein Jesus hilft singen』。

1855年に『Be Still, My Soul』のタイトルで英訳され、1932年にアメリカ長老派の歌集「The Hymnal」に掲載され広まった。この歌詞を『フィンランディア』のメロディに当てはめる際は、作曲者であるシベリウス本人に編曲を直接依頼したという。

【視聴】 Be Still My Soul リベラ

Be still, my soul, the Lord is on thy side;
Bear patiently the cross of grief or pain.
Leave to thy God to order and provide;
In every change He, faithful, will remain.
Be still, my soul, thy best, thy heavenly friend
Through thorny ways leads to a joyful end.

心安らかに 主は汝のそばに
苦しみ・痛みの十字架を耐え抜くのです
すべてを神にゆだねなさい
いかなる時も主は誠実であられます
心安らかに 汝の最高の天界の友
いばらの道は喜びに満ちた終末へ続くのです

讃美歌 『やすかれわがこころよ』

安かれ 我が心よ
主イェスは ともにいます
痛みも 苦しみをも
雄々しく 忍び耐えよ
主イェスの ともにませば
耐え得ぬ 悩みはなし

讃美歌『This Is My Song』

『フィンランディア賛歌』とメロディを同じくする讃美歌は数多く存在するが、中でも『This Is My Song』はアメリカを中心に比較的広く知られている。2節目の歌詞から『A Song of Peace』と題されることもある。歌詞の作詞者は、アメリカの詩人ロイド・ストーン(Lloyd Stone/1912-1993)。交響詩『フィンランディア』の合唱パートとして歌われることもあるようだ。

【視聴】 "This is my song, O God of all the nations"

1.
This is my song, Oh God of all the nations,
A song of peace for lands afar and mine.
This is my home, the country where my heart is;

Here are my hopes, my dreams, my sacred shrine.
But other hearts in other lands are beating,
With hopes and dreams as true and high as mine.

これは我が歌 すべての国の神
遠方の土地や祖国への平和の歌
これは我が家 私の心が宿る国

ここには私の希望が、夢が、そして神聖なる聖地がある
しかし他の土地の他の心も
私と同じく希望と夢に脈打っている

2.
My country's skies are bluer than the ocean,
And sunlight beams on cloverleaf and pine.
But other lands have sunlight too and clover,

And skies are everywhere as blue as mine.
Oh hear my song, oh God of all the nations,
A song of peace for their land and for mine.

我が祖国の空は海よりも青く
日差しはクローバーやマツに降り注ぐ
けれど他の土地にも日差しやクローバーはある

そして空はどこでも同じように青い
おお 我が歌を聴け おお全ての国の神よ
すべての国への平和の歌を

ウェールズの賛歌にも

イギリス(グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)を構成する国(country)のひとつ、ウェールズ(Wales)の愛唱歌『Gweddi dros Gymru(A Prayer for Wales)』も、『フィンランディア賛歌』と同様のメロディが用いられた楽曲として知られている。同曲は、ウェールズ第2の国歌としても愛唱されているという。

作詞者は、ウェールズの政治家でバプテスト派の牧師でもあるルイス・エドワード・バレンタイン(Lewis Edward Valentine/1893–1986)。タイトルは、冒頭の歌詞から『Dros Gymru'n gwlad』とも表記される。ウェールズのシンガーソングライター、ダヴィズ・イワン(Dafydd Iwan)もカバーしている。

【関連ページ】

ウェールズ国歌 『Hen Wlad Fy Nhadau (Land of Our Fathers)』

【視聴】 Dros Gymru'n Gwlâd (A Prayer for Wales/Finlandia)

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